※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)
大阪府の最新の地価動向
大阪府の最新公示地価は平均31万1722円/m2(2022年[令和4年])、坪単価では平均103万0488円/坪で、全国順位は2位/47都道府県です。前年からの変動率は+0.15%で、変動率の順位は18位/47都道府県です。
最新基準地価は平均35万7543円/m2(2022年[令和4年])、坪単価では平均118万1960円/坪で、全国順位は2位/47都道府県です。前年からの変動率は+0.80%で、変動率の順位は10位/47都道府県です。
1983年(昭和58年)から40年分のデータがあり、公示地価の最高値は123万0668円/m2(1991年)、最安価格は20万1947円/m2(2005年)で、両者の違いは6.09倍です。基準地価の最高値は136万9986円/m2(1990年)、最低価格は19万8087円/m2(2005年)で、両者の違いは6.92倍です。
宅地の平均価格は14万8907円/m2、坪単位では49万2257円/坪、変動率は+0.66%です(2022年)。商業地の平均価格は95万8240円/m2、坪単価では316万7736円/坪、変動率は-2.07%です(2022年)。
大阪府の中で土地が高いのは、大阪市(91万7876円/m2)、吹田市(28万5720円/m2)、豊中市(23万7692円/m2)、茨木市(23万6142円/m2)、箕面市(22万7000円/m2)です。大阪府の中で土地が低いのは、能勢町(1万9250円/m2)、千早赤阪村(2万3300円/m2)、岬町(2万5475円/m2)、河南町(3万1700円/m2)、豊能町(3万4366円/m2)です。
大阪府の地価の傾向と背景
大阪府の土地価格変動要因
バブル経済崩壊にともなう土地神話の崩壊とともに地価下落傾向が続いていた大阪府ですが、2006年[平成18年]より景気のゆるやかな回復に連動し、都心の商業地を中心に地価が上昇に転じました。しかし2008年[平成20年]に起きたリーマンショックの影響から翌年の公示地価より下落基調に転じました。アベノミクスによる景気回復により2013年[平成25年]より再び上昇基調に転じています。大阪市は梅田地区の再開発が続いており、同地区では地価上昇率が年20%を超える土地もでてきています。政令指定都市の堺市は市全体ではゆるやかな地価上昇傾向ですが、人口流出がつづく南区や生活利便性におとる美原区は地価下落傾向です。
大阪市の土地価格変動要因
2020年[令和2年]まで、大阪市は景気回復傾向とインバウンド需要に支えられ、大幅な地価上昇傾向を続けていました。大阪駅(梅田駅)周辺の再開発事業が継続しており、2011年[平成23年]に大阪ターミナルビル(大丸梅田店)が増床、大阪ステーションシティ(JR大阪三越伊勢丹)が開業しました。2012年[平成24年]に新梅田阪急ビル(阪急百貨店うめだ本店)が建て替えられました。2013年[平成25年]にグランフロント大阪が開業しました。2021年には大阪神ビル(阪神百貨店梅田本店)が建て替えられる予定です。これらの再開発により梅田地区では全国トップクラスの力強い地価上昇が起きました。また、阿倍野地区では、あべのハルカスが2014年[平成26年]に全面開業しました。コロナ禍前まではインバウンド経済が好調であり、大阪府は訪日外国人観光客が訪れる都道府県の全国1位となりました。外国人に人気の道頓堀、大阪城、USJ、海遊館などを抱える大阪市の商業地の地価上昇に寄与しました。しかし2020年[令和2年]に新型コロナウイルス禍が発生したため、観光業は試練のときをむかえています。
大阪2011年問題
大阪市の中心部では2005年[平成17年]から2011年[平成23年]にかけて大型商業施設の新設や増床があいつぎ、商業施設の供給過剰が危惧され「大阪2011年問題」と呼ばれました。そごう心斎橋本店が建て替えを行って2005年[平成17年]に再オープンしました。2006年[平成18年]、南街会館になんばマルイが出店しました。2008年[平成20年]、近鉄百貨店阿倍野本店新館「あべのand」が「あべのHoop」の南隣に開業しました。2009年[平成21年]、そごう心斎橋本店が大丸心斎橋店 北館としてリニューアルオープンしました。2011年[平成23年]、高島屋大阪店と大丸梅田店(大阪ターミナルビル)が増床しました。同年、JR大阪三越伊勢丹(大阪ステーションシティ)が開業しました。その後も2012年[平成24年]に阪急百貨店うめだ本店(新梅田阪急ビル)が建て替えをし、2014年[平成26年]に「あべのハルカス」が全面開業するなど、大阪の商業の競争は熾烈さを増す一方です。しかしながら懸念されていた供給過剰問題は起きませんでした。おりしも外国人観光客数が急伸し、これらの商業施設がインバウンド需要の受け皿となりました。それぞれの商業施設は売り場を工夫し、ブラッシュアップし、競合他社との差別化をはかることによって、しのぎを削りながらも共栄することに成功したのです。
大阪ステーションシティ
2011年[平成23年]、大阪ステーションシティがグランドオープンしました。大阪ステーションシティはJR大阪駅と周囲の再開発ビルがなる複合施設です。総延床面積は約53万m2に達します。大阪ターミナルビル株式会社により運営されています。大阪駅のほかには駅北側のノースゲートビルディング、駅南側のサウスゲートビルディングの2棟が存在します。ノースゲートビルディングにはルクア1100(JR大阪三越伊勢丹より改装)、ラグナヴェールPREMIER(結婚式場)、コナミスポーツクラブ、大阪ステーションシティシネマ、バルチカ(飲食店ゾーン)、ルクアフードホール、ルクアダイニングが入っており、地上14階~27階はオフィスです。サウスゲートビルディングは大丸梅田店、大丸エキウエダイニング美食区、ホテルグランヴィア大阪、総合クリニック、うまいものプラザからなります。
インバウンド需要
2019年[令和元年]まで大阪への外国人観光客数が増え続けていました。2018年[平成30年]は約1160万~1200万人に達しました。2009年[平成21年]から2016年[平成28年]にかけての外国人観光客数の増加率は世界一の約4.5倍で、年24%の伸び率となっています(米マスターカード社による統計発表)。円安傾向により日本全体への外国人観光客数が増えていますが、そのうちの約39%もの人々が大阪府を訪問しています(観光庁による訪日外国人消費動向調査)。主要空港である関西国際空港が存在することも理由のひとつですが、魅力的な観光地が多く、それらが近い距離に密集していることが大きな理由であると考えられます。特に人気があるのは道頓堀~心斎橋(大阪市中央区道頓堀、西心斎橋、心斎橋筋)、日本橋[にっぽんばし](大阪市中央区日本橋、大阪市浪速区日本橋)のある難波地区で、ショッピングや食文化に需要があります。また、大阪城(大阪市中央区大阪城)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市此花区桜島)、海遊館(大阪市港区海岸通)、通天閣(大阪市浪速区恵美須東)、梅田スカイビル(大阪市北区梅田)も訴求力のある観光スポットです。しかし、2020年[令和2年]に新型コロナウイルス禍が発生したため、インバウンド経済は大きな打撃を受けています。
大阪の観光戦略
大阪府と大阪市は2013年[平成25年]に大阪観光局を設立しました。大阪観光局は松井一郎大阪府知事と橋下徹大阪市長(当時)が中心となり、大阪都市魅力創造戦略に基づいて発足させた公益財団法人です。当時日本を訪れる外国人観光客が増加していたのに対して大阪への観光約数の伸びはいまいちであったため、その危機感により発足。官民一体で大阪府、大阪市、関西経済界が出資しています。初代局長は加納国雄氏、2代目局長は溝畑宏氏です。ファッションモデルを大阪観光大使に起用して海外で広告展開をしたり、大阪国際音楽フェスティバルを開催して大阪の知名度向上をめざしました。関西国際空港へのLCC(格安航空会社)の就航を誘致し、LCCの便数は日本最多となりました。同空港は京都観光の玄関口にもなっており、京都へ近いことも大阪の強みとして生かしています。大阪市交通局は市営地下鉄にクラウド型ビデオ通訳サービスを導入し、英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語で観光客がコミュニケーションをとれるようにしています。大阪府や阪急電鉄などは無料Wi-Fiに力を入れ、観光情報のみならず医療情報や防災情報も複数言語で提供しています。大阪観光局は現在、スポーツ文化ツーリズムやカジノ統合型リゾートのプロジェクトを進行し、大阪を世界最高水準の観光都市にすることを志しています。
※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)