※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)
福岡県の最新の地価動向
福岡県の最新公示地価は平均19万1297円/m2(2022年[令和4年])、坪単価では平均63万2389円/坪で、全国順位は6位/47都道府県です。前年からの変動率は+3.53%で、変動率の順位は2位/47都道府県です。
最新基準地価は平均13万9881円/m2(2022年[令和4年])、坪単価では平均46万2417円/坪で、全国順位は8位/47都道府県です。前年からの変動率は+3.06%で、変動率の順位は1位/47都道府県です。
1983年(昭和58年)から40年分のデータがあり、公示地価の最高値は35万7609円/m2(1992年)、最低値は10万8139円/m2(2012年)で、両者の落差は3.31倍です。基準地価の最高値は23万4573円/m2(1991年)、最低値は7万3425円/m2(1983年)で、双方の落差は3.19倍です。
宅地の平均価格は7万5560円/m2、坪単価では24万9786円/坪、変動率は+5.43%です(2022年)。商業地の平均価格は42万5725円/m2、坪単位では140万7358円/坪、変動率は+11.68%です(2022年)。
福岡県の中で土地が高額なのは、福岡市(53万4975円/m2)、大野城市(15万5625円/m2)、春日市(15万0707円/m2)、志免町(10万2400円/m2)、筑紫野市(9万2666円/m2)です。福岡県の中で土地が低額なのは、赤村(6350円/m2)、東峰村(6550円/m2)、小竹町(8691円/m2)、福智町(9210円/m2)、上毛町(9330円/m2)です。
福岡県の地価の傾向と背景
福岡県の土地価格変動要因
福岡県全体の地価は2014年[平成26年]前後より住宅需要の回復により地価が上昇傾向に転じました。建築費が高騰してはいるものの低金利化の影響により土地やマンションの売買も活性化しています。福岡市中心部では高価格帯の取引も行われています。春日市、大野城市、筑紫野市、志免町、粕屋町、須恵町といった福岡都市圏も福岡市のベッドタウンとして住宅需要が堅調であり、福岡市と連動して地価上昇が続いています。北九州市は中心部の地価は上昇しているものの、住宅が供給されるわりに人口減少が続いており、市全体では地価は下落傾向です。閉園したスペースワールド(北九州市八幡東区)の跡地では複合商業施設プロジェクトが進行中です。久留米市は中心部のマンションと戸建ての需要は手堅い一方、郊外では下落傾向です。
福岡市の土地価格変動要因
福岡市中央区、南区、早良区の駅徒歩10分内圏は住宅需要のわりに供給が少なく、売買価格は堅調に推移しています。低金利を背景に消費者の購買意欲は高く、高級マンションの高価格取引もみられます。商業施設の需要も改善しており、賃料も上昇傾向に転じています。2016年[平成28年]、博多駅西側に商業施設ビルのKITTE博多、およびJRJP博多ビルが開業しました。2017年[平成29年]には六本松421(複合施設)が開業しました。福岡空港からはマカオ直行便、マニラ直行便、ヘルシンキ直行便が就航。博多港への外国クルーズ船の寄港数は日本最多が続いており、インバウンド需要は一時の中国経済落ち込み時より回復基調にあります。ホテル用地の高価格取引もみられます。
JR博多シティ
博多駅博多口の駅ビル「JR博多シティ」が2011年[平成23年]3月3日にオープンしました。同年3月12日に九州新幹線 鹿児島ルートが全線開通するのに合わせ、同時期に開業されました。地下3階~地上10階からなる複合商業施設で、延床面積約20万m2です。JR博多シティの所在地は福岡県福岡市博多区博多駅中央街1番1号です。JR博多シティは株式会社JR博多シティ(九州旅客鉄道株式会社の子会社)により運営されます。テナントには博多阪急(阪急百貨店)、東急ハンズ、T・ジョイ博多(映画館)、DEITOS、九大ビジネススクール、FM FUKUOKA JR HAKATA CITY Studioなどが入ります。また、アミュプラザ博多(AMU)、マイング博多駅名店街、博多1番街、博多駅地下街といった専門店街があり、飲食店、雑貨店、ファッション店舗などが入居しています。九州新幹線の開業後は熊本県や鹿児島県にまでターゲットが拡大しました。
九州新幹線 鹿児島ルート
2011年[平成23年]3月12日、九州新幹線 鹿児島ルート(博多駅-鹿児島中央駅)が全線開通しました。九州新幹線は1973年[昭和48年]に整備計画が決定し、1991年[平成3年]に着工、2004年[平成16年]に新八代駅-鹿児島中央駅間が部分開業、そして2011年[平成23年]に全線開業となりました。38年を経ての鉄道関係者にとって悲願の全線開通でしたが、開通日はおりしも東日本大震災の翌日であり、全国的に大きく報道されることはありませんでした。九州新幹線は博多駅で山陽新幹線と直通しており、合わせて「山陽・九州新幹線」と呼ばれます。列車名は「みずほ」「さくら」「つばめ」の3タイプです。福岡県内の駅は博多駅(福岡市博多区)、久留米駅(久留米市)、筑後船小屋駅(筑後市)、新大牟田駅(大牟田市)です。博多駅と久留米駅の間に新鳥栖駅(佐賀県鳥栖市)がはさまります。開業当初は震災の自粛ムードもあり利用客数は伸び悩みましたが、自粛ムードが緩和されると徐々に利用者が増加していきました。利用者数は年々伸び、2017年度[平成29年度]の利用者は約1400万人に達しました。九州の南北の時間距離が縮まったことにより、鹿児島県から福岡市に日帰り出張が可能になり、ビジネスでの利用が活発化しました。ショッピングや観光目的の移動も活発になり、博多や天神などの福岡市の商業地区は熊本県や鹿児島県からも集客するようになりました。また、中国地方や関西地方からの観光客も増加しています。飛行機に乗らず移動できることが心理的な距離感を縮めたためです。九州新幹線は福岡県に大きな経済効果をもたらしています。
KITTE博多
KITTE博多(キッテ博多)が2016年[平成28年]に博多駅前(福岡市博多区博多駅中央街9番1号)にオープンしました。日本郵便株式会社が運営する商業ビルです。テナントには博多マルイ、ユニクロ、福岡大学博多駅クリニック、アイン薬局、叙々苑、築地寿司清、京鼎楼、梅蘭、スターバックスコーヒー、ホノルルコーヒー、久留米大砲ラーメン、美膳麦や七蔵などが入ります。ペデストリアンデッキでJRJP博多ビル、JR博多シティと接続しています。
JRJP博多ビル
JRJP博多ビルが2016年[平成28年]に博多駅前(福岡市博多区博多駅中央街8番1号)に開業しました。日本郵便とJR九州による共同事業です。テナントには博多郵便局、ゆうちょ銀行博多店、在福岡タイ王国総領事館、ハードロックカフェ、俺のフレンチ、キンコーズ、スターバックス リザーブ、ローソン、河太郎などが入ります。オフィスには九電工、YKK AP 九州支社、グロービス経営大学院 福岡校、日本リージャス、税理士法人さくら優和パートナーズ、ゼネラルアサヒ、マイナビ、LINE Fukuokaなどが入居しています。
九州北部豪雨
2017年[平成29年]7月5日~6日、九州北部を集中豪雨が襲いました。気象庁によって「平成29年7月九州北部豪雨」と命名されている災害です。梅雨前線が朝鮮半島から西日本付近に南下し、福岡県から大分県にかけて線状降水帯が形成され、長時間にわたり猛烈な雨が降り続けました。福岡県朝倉市、うきは市、久留米市、東峰村、大分県日田市、佐賀県鳥栖市では1時間あたり100mmを超える雨量が観測されました。特に雨量が多かったのは朝倉市で、12時間で約900mmもの雨量に達しました。これは気象庁の観測史上においても最大クラスの集中豪雨です。気象庁は福岡県と大分県のほぼ全域に対して大雨特別警報を発令しました。朝倉市では桂川、彦山川が氾濫しました。日田市では大肥川、花月川が氾濫しました。河川の氾濫により大量の流木が住宅地に押し寄せ、家屋に甚大な被害をもたらしました。日田市小野地区では土砂崩れが発生しました。確認された死亡者は福岡県朝倉市34名、東峰村3名、日田市3名で、また朝倉市では2名が行方不明となっています(消防庁)。朝倉市の国指定史跡に登録されている朝倉三連水車など文化財にも被害がありました。九州北部豪雨は政府により激甚災害に指定されました。
博多湾ウォーターフロント地区再整備計画
博多湾ウォーターフロント地区(福岡市博多区沖浜町、築港本町、石城町)は中央ふ頭、博多ふ頭からなる海上交通の拠点です。マリンメッセ福岡、ベイサイドプレイス博多、博多港国際ターミナル、博多ポートタワー、福岡国際会議場、福岡国際センター、福岡サンパレス ホテル&ホールなどが立地します。国際定期旅客船、クルーズ船が寄港し、国際交流拠点となっています。近年、国際会議の開催要請が急増し、施設不足からその多数を断らざるをえない状況が続いています。その機会損失は年間800億円とも試算されており、インフラの再整備プロジェクト「ウォーターフロントネクスト」が立ち上がりました。ウォーターフロント地区に新しい交通システムを導入することが検討されています。MICE(国際会議、国際イベント)施設の機能強化のためホール、歩行者デッキ、駐車場の整備が計画されています。また、MICEの運営権制度の導入が検討されています。クルーズの寄港の増加に対応するため、ターミナルの新設が計画されています。
※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)