※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)
京都府の最新の地価動向
京都府の最新公示地価は平均28万4908円/m2(2023年[令和5年])、坪単価では平均94万1847円/坪で、全国順位は3位/47都道府県です。前年からの変動率は+1.27%で、変動率の順位は12位/47都道府県です。
最新基準地価は平均23万5437円/m2(2022年[令和4年])、坪単価では平均77万8307円/坪で、全国順位は4位/47都道府県です。前年からの変動率は+0.38%で、変動率の順位は13位/47都道府県です。
1983年(昭和58年)から40年分のデータがあり、公示地価の最高値は77万2297円/m2(1991年)、最低価格は17万0465円/m2(2005年)で、双方の差は4.53倍です。基準地価の最高値は63万4392円/m2(1990年)、最安値は12万7740円/m2(2005年)で、両者の差は4.97倍です。
宅地の平均地価は14万8667円/m2、坪単価では49万1463円/坪、変動率は+0.39%です(2022年)。商業地の平均地価は63万5404円/m2、坪単価では210万0510円/坪、変動率は+10.02%です(2022年)。
京都府の中で土地が高価格なのは、京都市(45万4470円/m2)、向日市(22万4666円/m2)、長岡京市(20万5352円/m2)、大山崎町(14万7800円/m2)、宇治市(12万4617円/m2)です。京都府の中で土地が低価格なのは、伊根町(7293円/m2)、笠置町(8473円/m2)、南山城村(8826円/m2)、京丹波町(1万3037円/m2)、和束町(1万4666円/m2)です。
京都府の地価の傾向と背景
京都府の土地価格変動要因
バブル経済崩壊後下落し続けていた京都府の地価は2006年[平成18年]に回復基調に乗ったものの、リーマンショック(2008年[平成20年])により再び下降に転じました。しかし2013年[平成25年]よりアベノミクス効果やインバウンド需要により上昇基調に転じています。京都市への国内観光客および外国人観光客の訪問数は増加傾向を続けており、2016年[平成28年]には観光消費額が初の1兆円超えを果たしました。とはいえ中国経済の落ち込みや市内混雑の敬遠から必ずしも順風満帆な右肩上がりを続けているわけではありません。インバウンドの影響から、中心部の土地の需要はマンション用地からホテル用地に転じました。乙訓地域の向日市、長岡京市の地価も堅調です。北部地域は亀岡市の地価が2018年[平成30年]に転じ、他の市町は高齢化・人口減少に直面しつつも下落幅は縮小しています。亀岡市には京都スタジアムが建設中です。南部地域は宇治市、城陽市がゆるやかな上昇傾向で、他の市町村は下落傾向ながら下落幅は縮小しています。
京都市の土地価格変動要因
京都府庁所在地である京都市の地価はインバウンド経済の好影響から、山科区をのぞき力強い上昇基調が続いています。特に観光・商業の中心地である下京区・中京区のなかには20%を超える上昇率をしめしている地点もあります。 JR嵯峨野線(山陰本線)の京都駅と丹波口駅の中間に新駅・梅小路京都西駅(うめこうじきょうとにしえき)が2019年[平成31年]に開業したこともあり、京都駅前の土地需要が高まっています。二条駅周辺も生活利便性の高まりから人気があり、三条、四条も高水準の地価上昇率を維持しています。中京区は京都市内でもっとも人口が増加しており、住宅需要が強くなっています。東山区ではインバウンド効果により高台寺地区の地価が大きく上昇している一方、山側の清閑寺・今熊野・泉涌寺地区は横這い傾向です。右京区山ノ内には京都学園大学 太秦キャンパスが2015年[平成27年]に開校し、学生マンションの需要が増えました。上京区には文化庁が東京から移転予定です。
京都市の宿泊施設の動向
2019年[令和元年]までインバウンド経済が好調だったため、宿泊施設の需要が増し続けていました。建築中や建設計画中のホテルがいくつもあり、中京区、下京区、東山区、南区が特に目立っています。旅館・ホテルも増加傾向ではありますが、とくに簡易宿所の急増ぶりが顕著です。簡易宿所とは旅館業法における旅館業の一種で、京町家貸し、民宿、ゲストハウスなどが該当します。特にゲストハウスの増加が目立ちます。ゲストハウスは京町家、事業所、雑居ビルからの転用が多く、ホテルを新築することに比べはるかに低コストなのが特長です。遊休不動産の再活用としても注目されています。ホテルは新規建造が主流ですが、少子化により廃校となった小学校をリノベーションすることにより高級ホテルに改装する事例も見られます(東山区 清水小学校)。しかし、2020年[令和2年]に新型コロナウイルス禍が発生したため、京都の観光産業は試練をむかえています。
京都府の道路網整備
京都縦貫自動車道が2015年[平成27年]に全線開通しました。京都縦貫自動車道は宮津市より乙訓郡大山崎町にいたる約93kmの高規格幹線道路であり、綾部宮津道路、丹波綾部道路、京都丹波道路、京都第二外環状道路から構成されます。大山崎ジャンクションより久御山インターチェンジの間は京滋バイパスの一部となっています。京都縦貫道路の開通により京都府北部のアクセスが向上し、工業用地に関する企業からの問い合わせが増えています。建設中の新名神高速道路に関しては、2017年[平成29年]に城陽-八幡間が完成し、京都縦貫道路と京奈道路が接続しました。新名神高速道路は2023年[令和5年]に城陽-大津間、八幡-高槻間が開通予定です。2028年[令和10年]には名神高速道路と阪神高速京都線が接続する予定です。京都府南部の高速道路ネットワークが整備されてきており、工場や物流拠点の需要増加が期待されます。
京都スタジアム
京都スタジアムは亀岡市に2020年[令和2年]に開業した専用球技場(サッカー、ラグビー、アメリカンフットボール)です。建設地はJR亀岡駅の北側、JR山陰本線と曽我谷川に挟まれた地区です。Jリーグ所属のプロサッカーチーム京都サンガF.C.が京都スタジアムでホームゲームを行います。京都スタジアムの起工に至るまでには紆余曲折あり、京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場を長年使用している京都サンガF.C.(旧称:京都パープルサンガ)の働きかけから当初は京都市内での建設をめざしましたが、交通アクセス整備や維持管理の困難さにより断念されました。京都府は府内より候補地を募集し、名乗り上げた亀岡市、城陽市、舞鶴市、京丹波町の中から亀岡市が選定されました。
城陽市プレミアムアウトレット
三菱地所株式会社、三菱地所・サイモン株式会社が城陽市にプレミアムアウトレットを建設する計画を発表しました。実現すれば京都府初の大型アウトレットモールとなります。予定地はJR長池駅の東方で、2023年[令和5年]に城陽-大津間の開通が予定されている新名神高速道路沿いになります。アウトレット開業は当区間の開通後の予定です。予定地は東部丘陵地長池先行整備地区として青谷地区と長池地区が先行整備されています。京都府は国に対してアクセス向上のため新名神高速道路にスマートインターチェンジを設置することを要請しています。開業後の雇用は約1,000人が見込まれており、地域経済の活性化に期待が寄せられています。三菱地所グループはこれを機に関西地方での事業拡大を志向しています。
※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)