※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)
静岡県の最新の地価動向
静岡県の最新公示地価は平均8万8410円/m2(2022年[令和4年])、坪単価では平均29万2266円/坪で、全国順位は14位/47都道府県です。前年からの変動率は-0.77%で、変動率の順位は39位/47都道府県です。
最新基準地価は平均8万2533円/m2(2022年[令和4年])、坪単価では平均27万2837円/坪で、全国順位は13位/47都道府県です。前年からの変動率は-0.77%で、変動率の順位は30位/47都道府県です。
1983年(昭和58年)から40年分のデータがあり、公示地価の最高値は27万7173円/m2(1991年)、最低価格は8万8410円/m2(2022年)で、両者の差は3.14倍です。基準地価の最高値は25万4320円/m2(1991年)、最低価格は8万2533円/m2(2022年)で、双方の差は3.08倍です。
宅地の平均価格は6万8138円/m2、坪単価では22万5250円/坪、変動率は-0.37%です(2022年)。商業地の平均価格は14万3176円/m2、坪単位では47万3310円/坪、変動率は-0.73%です(2022年)。
静岡県の中で土地が高額なのは、静岡市(16万7267円/m2)、三島市(13万7100円/m2)、清水町(11万5425円/m2)、長泉町(11万4360円/m2)、函南町(9万5283円/m2)です。静岡県の中で土地が低額なのは、川根本町(1万3180円/m2)、南伊豆町(1万4350円/m2)、御前崎市(1万6420円/m2)、西伊豆町(2万6980円/m2)、河津町(2万7966円/m2)です。
静岡県の地価の傾向と背景
静岡県の地価傾向と背景
静岡県の住宅地価は下落傾向を続けていますが、静岡市葵区、浜松市中区、駿東郡長泉町などでは上昇に転じており、熱海市は横這い傾向です。静岡県の沿岸部は東日本大震災(2011年[平成23年])以降、津波リスクを懸念して住宅需要が減退しており、地価が下降傾向を続けています。また、過疎化が進んでいる山間部でも地価の下落が続いています。これにより浜松市天竜区、牧之原市、焼津市、伊豆市、榛原郡吉田町、賀茂郡東伊豆町、賀茂郡河津町では2%を超える地価下落率となっています。沼津市では津波リスクのない内陸部の住宅地価の下落率が縮小傾向です。ららぽーと沼津が沼津駅北方に2019年[令和元年]10月に開業予定であり、生活利便性が高まることから好材料となっています。三島市では、新幹線で東京へ通勤する層の住宅需要がある他、東駿河湾環状道路の建設進捗により生活利便性が増しており、中心部とその近郊の住宅需要は堅調です。静岡県全体の商業地価はゆるゆかな下落傾向が続いていますが、静岡市、浜松市、熱海市、三島市、藤枝市、長泉町では上昇しています。アベノミクスの金融緩和政策による景気回復傾向を背景に、各市町の中心部で再開発やインフラ整備が進んでいることが商業地価に好影響を与えています。伊豆半島においては、伊豆縦貫自動車道の工事進展が好材料となっています。また、観光客数が回復傾向の熱海市では中心部の商業地価が上昇しています。静岡県の工業地価はゆるやかな下落傾向ですが、新東名高速道路の開通は好材料となっています。
静岡市の地価傾向と背景
静岡市の地価は葵区が上昇傾向、駿河区が横這い傾向、清水区が下落傾向であり、静岡市トータルでは横這い傾向となっています。静岡市の人口は全区で微減傾向が続いています。葵区では中心部の生活利便性が高いエリアで住宅地価が上昇しており、特に伝馬町の住宅地価は急上昇しました。郊外の住宅地も人口は減少しているものの景気回復を背景に上昇や横ばいに転じる地点もでてきています。葵区の商業の中心である新静岡では再開発事業が行われ、2011年[平成23年]に「新静岡セノバ」(複合商業ビル/静岡市葵区鷹匠)が開業、2014年[平成26年]に「ザ・呉服町タワー」(店舗、事務所、集合住宅/静岡市葵区呉服町)が完成、2018年[平成30年]に「札の辻クロス」(多目的ホール、有料老人ホーム、店舗/静岡市葵区呉服町)がオープンしました。新静岡セノバ周辺の商業地価は鷹匠、両替町、呉服町などで高い伸び率となっています。駿河区では都市計画道路整備による地価上昇傾向は一段落しました。東静岡駅周辺土地区画整理事業が2017年[平成29年]に完成し、東静岡駅近郊の土地需要が高まっています。東名高速道路から南側の沿岸部は津波リスクによる影響から弱含みが続いています。清水区は葵区・駿河区と比べて人口減少の度合いが大きく、地価は下降を続けています。草薙駅周辺は再開発プロジェクトにより上昇していますが、蒲原地区、三保地区といった沿岸部では地価下落が続いています。清水港へのクルーズ客船の寄港数が近年増えており、静岡県が「清水港 国際旅客船拠点形成計画」「駿河湾港整備基本計画」を策定するなど、自治体や商工会によって整備計画や観光客誘致策が進められています。
浜松市の地価傾向と背景
浜松市の地価は中区で上昇傾向、東区・浜北区はゆるやかな上昇傾向、北区・西区・南区はゆるやかな下落傾向であり、天竜区は大きく下降しています。浜松市の住民数はゆるやかな減少傾向が続いています。中区の中心部(浜松駅周辺)は需要が堅調であり、住宅地価・商業地価ともに大きく上昇しています。中心部はマンションの需要が投資目的を含め好調であり、マンション用地の価格も上昇しています。2019年[平成31年]4月、JR浜松駅ビル「メイワンエキマチイースト」がリニューアルオープンしました。浜北区では浜北駅(遠州鉄道)周辺エリアの人口が増加傾向であり、貴布祢、小松、横須賀、染地台などで地価が上昇しています。美薗中央公園駅~浜北駅~遠州小松駅のエリアは2009年[平成21年]に策定された「浜北副都心構想」により、都心を補完する副都心として、行政・商業・文化・居住の環境整備が方針として掲げられています。中区・東区・西区の高台エリアは商業施設の進出により生活利便性が高まり地価が上昇基調です。中区早出町のヤマハ発動機の工場跡地が再開発され、2019年[平成31年]4月に商業施設が開業し、同年[令和元年]11月にマンション「ブライトタウン早出ザ・テラス」が竣工します。浜松市の工業地については、沿岸部から内陸部への工場移転需要があり、新東名高速道路の沿線の土地に引き合いがあります。浜松市にはスズキやヤマハの本社があり、自動車産業の景況改善により地元経済の景気は回復基調です。
観光客数が回復傾向の熱海
熱海への観光客数が回復傾向を続けています。熱海市への観光客数は1969年[昭和44年]にピークの532万人を記録して以降右肩下がりを続け、2011年[平成23年]には東日本大震災の影響もあり247万人にまで落ち込みました。しかし翌年よりV字回復し、2018年[平成30年]には302万人にまで回復しています。かつて新婚旅行や社員旅行の人気エリアであった熱海は、新婚旅行の海外旅行化や社員旅行の衰退とともに観光客が減少の一途をたどりました。2006年[平成18年]に初当選した齊藤栄熱海市長は、“第二の夕張”になってもおかしくないほど危機に陥っていた市財政を建て直す政策を実行し続けました。財政再建により余裕がでてきた2011年[平成23年]より熱海市はシティプロモーションを開始しました。特徴的なのは“ADさん、いらっしゃい!”のコンセプトのもと、テレビドラマや映画の撮影を積極誘致した対メディア戦略です。また、熱海梅園、早咲きの「あたみ桜」、世界三大花木のジャカランダを熱海の強みとして再確認し、プロモートしました。官民連携も行い、空き家をリノベーションして商店街を活性化させることに成功した若手起業家などと連携し、観光客誘致プロジェクトを実行しました。これらの取り組みが功を奏し、2015年[平成27年]に観光客数が300万人の大台にまで回復しました。すべて順調のように見えますが課題もあります。熱海市は少子高齢化・人口減少が進んでおり、税収減少や労働者不足という問題が発生しているのです。2020年[令和2年]には新型コロナウイルス禍が発生。観光業・飲食店は試練をむかえています。
※変動率は、各地点の変動率の平均となります。(平均地価の変動率ではありません)