公示地価とは?
公示地価とは?
土地価格の相場は、公示地価や基準地価をベースにして考えられます。この公示地価というのは、地価公示法に基づいて算出された地価であり、地価公示によって発表されます。毎年公平な鑑定が実施され、国土交通省・および各地方自治体により発表されます。
公示地価の誕生背景
元来、不動産の価格は、財産としての価値と、商取引上の値段との間に、差異があります。土地の価値は、個人や法人で視点が異なったり、何に重きを置くかで、価格がまったく異なってくるからです。
さらに、個人情報保護の観点や企業の守秘義務によって、不動産市場において、実際の取引価格が公に発表されないため、客観的な算定評価による不動産価格の公表が求められていました。地価公示制度は、このような背景を元に誕生したのです。
日本不動産鑑定協会によると、この公示地価制度は世界でも珍しい制度のようです。
公示地価の概要
公示地価は「地価公示価格」とも呼ばれます。
公示地価は、土地鑑定委員会により、毎年1回調査されます。個別の標準地の価格の鑑定は不動産鑑定士が行います。基準日は毎年の1月1日で、3月下旬頃に公表されます。固定資産税による課税が目的であると思われがちですが、わが国では、必ずしも土地への課税が直接の目的ではありません。
公示地価は、土地の更地としての価値であり、不動産のうち上物(建物等)は含みません。単位は1平方メートル(m2)で、坪ではありません。当サイトでは分かりやすいように坪単価も掲載しています。通貨は円です。調査される標準地は、都市計画による売買や商取引の可能性がある場所とされます。
公示地価は、経済指標としての役割もあり、テレビや新聞などマスコミによっても報道され、国民の関心事となっています。
公示地価と基準地価の違い
公示地価は毎年1月1日の地価が3月下旬頃に発表されます。基準地価は毎年7月1日の地価が9月下旬頃に発表されます。地価の鑑定方法は共通です。公示地価の選定地点は「標準地」、基準地価の選定地点は「基準地」と呼ばれ区別することがあります。
公示地価と基準地価、日本では1年に2度、土地価格の目安が公開されることになります。公示地価と基準地価には共通の選定地点も含まれており、その地点は半年ごとの価格が分かるため価格変動も把握しやすくなります。
公示地価の発表内容
公示地価は、当サイトでは1983年[昭和58年]からのデータが存在します。公表される内容は、標準地の価格、座標系JGD2000(経度・緯度)、住所、最寄りの駅名(または港、バス停)・最寄りの駅からの距離、用途、地積、利用現況、建物構造、供給施設(インフラ設備)、法規制(都市計画法等の制限)、建蔽率、容積率、前面道路、側道、周辺の土地の利用現況です。
用途は、「住宅地」「宅地見込地」「商業地」「準工業地」「工業地」「市街化調整区域内の現況宅地」「市街化調整区域内の現況林地」の7種です。
利用現況は、「住宅」「店舗」「事務所」「銀行」「旅館」「給油所」「工場」「倉庫」「農地」「山林」「医院」「空地」「作業場」「原野」「その他」「用材」「雑木」の17種です。
建物構造は、「鉄骨鉄筋コンクリート造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨造」「ブロック造」「木造」の5種です。
供給施設は、「水道」「ガス」「下水」の3種の有無です。
用途地域は、「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」「第二種中高層住居専用地域」「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」「工業地域」「工業専用地域」です。
法規制は、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き都市計画区域」「都市計画区域外」「準都市計画区域」「防火地域」「準防火地域」「地域森林計画対象区域」「国立公園第二種特別地域」「国立公園第三種特別地域」「国立公園(普通)地域」「国定公園第二種特別区域」「国定公園第三種特別区域」「国定公園(普通)区域」です。
不動産鑑定評価基準
不動産鑑定士が不動産の価格を鑑定する際の基準が「不動産鑑定評価基準」です。不動産の価格はどう決まるかは、「効用(どれくらい役に立つか)」「相対的希少性」「有効需要」によります。
価格形成要因とは、不動産の効用・相対的希少性・有効需要に影響を与える要因のことです。価格形成要因には「一般的要因」「地域要因」「個別的要因」の3つがあります。一般的要因とは不動産を取り巻く環境のことであり、景気、人口減少、不動産税制の変更による需要の増加などです。地域要因とはどこに所在するかのことであり、住宅地か商業地か、周辺の道路の整備状況、周辺の公園の整備状況などです。個別的要因とはその不動産がもつ個性のことであり、上下水道の整備状況、道路に接しているか、傾斜地か、地盤の良し悪し、建物の構造、築年数、維持管理の状況などです。なお、価格形成要因自体も変化することがあります。
「最有効使用の原則」という原則があり、その不動産をもっとも有効に使用することを前提とします。
鑑定評価によって求める価格
鑑定評価によって求める価格には「正常価格」「限定価格」「特定価格」「特殊価格」があります。正常価格は普通に売買するときの価格であり、鑑定評価では原則として正常価格を求めます。市場性を有する不動産の、合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう価格です。限定価格は、限定された関係者のみで成立する価格です。例えば、隣接する土地と併合したら接道義務を満たすという場合、市場価値より高い価値を見いだすことができます。市場が相対的に限定される場合の取得部分の価格です。特定価格は、法令等による社会的要請を背景とする場合の価格です。特殊価格は、文化財等の市場性を有しない不動産について、そのことを前提とした価格です。
鑑定評価の方式
不動産の価格の鑑定評価の方式には「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つがあります。3つのうち複数の鑑定評価の手法を適用するべきとされています。それぞれの手法で求められた価格は「試算価格」と呼ばれます。原価法の試算価格は「積算価格」、取引事例比較法の試算価格は「比準価格」、収益還元法の試算価格は「収益価格」と呼ばれます。鑑定評価の基準日のことを「価格時点」と呼びます。
原価法
原価法は、価格時点における再調達原価を求め、そこから減価修正を行って試算価格を求める手法です。再調達原価とは、再調達を想定した原価のことです。資材や工法の変化で算定が困難だとしても、同じ有用性の不動産に置き換えて求めた原価を再調達原価とみなすことができます。周囲の環境が良くなっている場合、熟成度として再調達原価に加算することができます。減価修正は、耐用年数に基づく方法と、観察減価法とを併用します。
取引事例比較法
取引事例比較法は、取引事例を比較して試算価格を求める手法です。多数の取引事例を集め、必要に応じて事情補正と時点修正を行います。地域要因の比較、個別的要因の比較も行います。取引事例は、近隣地域・同一需給圏の類似地域から選びます。ただし、やむを得なければ近隣地域の周辺地域でよいとされます。事情補正と時点補正するので、取引事例は特殊でもよいとされます。投機による取引事例を選んではいけません。
収益還元法
収益還元法は、将来生み出すであろう純収益と、現在価値の総和を、試算価格とする手法です。純収益=総収益-費用。自用(自家用)の不動産は、賃貸を想定することで収益還元法を適用できます。文化財等「市場性を有しない不動産」には適用できません。