保証・連帯保証・連帯債務
保証
保証における3者
・債権者
・主たる債務者
・保証人
主たる債務/保証債務
・主たる債務:主たる債務者の債務
・保証債務:保証人の債務
保証契約とは
債権者と保証人の契約
保証債務の成立
・債権者と保証人の契約(保証契約)によって成立
↓
・主たる債務者から委託を受けていなくてもいい
・主たる債務者の意思に反していてもいい
◇書面
保証契約には書面の作成が必要★
↓
書面の作成がない場合は、保証契約は無効
事業用融資の保証契約には公正証書が必要
保証人の義務
保証人は、主たる債務者が債務を弁済できなくなったとき、代わって債務を弁済する義務を負う
保証債務の性質
・付従性
・補充性
付従性
◇主たる債務に生じた事情の影響
1.主たる債務に生じた事情は、保証債務に影響する
2.保証債務が主たる債務より重い場合、主たる債務の限度に減縮する
3.保証人は、主たる債務者の同時履行の抗弁権を債権者に対抗できる
4.主たる債務者が相殺権、取消権、解除権を有するとき、保証人は主たる債務者が債務を免れる限度で保証債務の履行を拒絶できる
ただし
・保証契約後に主たる債務が重くなった場合、保証人の負担には加重されない
◇保証債務に生じた事情の影響
原則
保証人に生じた事情は、原則として主たる債務者に影響しない
例外
保証人に弁済・代物弁済・供託・相殺が生じると、主たる債務者に影響する(主たる債務が消滅する)
補充性
・催告の抗弁権
・検索の抗弁権
催告の抗弁権
「まず主たる債務者に請求してくれ」と請求を拒める権利
検索の抗弁権
「主たる債務者に弁済の資力があること」および「執行(差押えや競売)が容易であること」を証明し、請求を拒める権利
求償権
保証人が債務を弁償した場合、保証人は主たる債務者に求償(弁償を求める)できる
分別の利益
保証人が複数いる場合、各保証人は、主たる債務を保証人の頭数で割った金額を弁済すれば足りる
根保証
根保証とは
根保証契約とは、ある範囲に属する不特定の債務を保証する契約
極度額の定めのない個人の根保証契約は無効
たとえば、子がアパートを貸借する場合、親が保証人となる。子の落ち度でアパートが火事になってしまった場合、保証人である親は損害賠償責任を負うことになる。このように根保証契約は、契約した時点ではどれくらいの債務を負うのかが分からない。このようなリスクを防ぐために、改正民法では、個人が根保証契約の保証人となる場合は、責任を負う金額の上限「極度額」を定めなければその契約は無効であるとしている。極度額は具体的な数字を記さなければならず、「家賃6ヶ月分」などの曖昧な表記は認められない
連帯保証
連帯保証における3者
・債権者
・主たる債務者
・連帯保証人
連帯保証債務とは
連帯保証人の債務
主たる債務に生じた事情
主たる債務に生じた事情は、連帯保証債務に影響する
連帯保証債務に生じた事情
原則
連帯保証債務に生じた事情は、主たる債務に影響しない
例外
連帯保証人に弁済・更改・相殺・混同が生じると、主たる債務にも影響する(主たる債務が消滅する)
補充性なし
補充性なし
=催告の抗弁権、検索の抗弁権がない
分別の利益なし
連帯保証人が複数いる場合、各連帯保証人は、主たる債務全額を弁済する義務を負う
保証債務との共通点
・主たる債務に生じた事情の影響
・求償権
保証債務との違い
・連帯保証債務に生じた事情の影響(弁済・更改・相殺・混同)
・補充性なし
・分別の利益なし
連帯債務
連帯債務とは
債務者全員が全額を支払う義務を負い、誰か1人が弁済すると全員の債務が消滅する債務
◇考え方
連帯保証の主たる債務が無いやつ版(?)
付従性
原則
連帯債務者に生じた事情は、他の連帯債務者に影響しない
※時効消滅が起きても、他の連帯債務は時効消滅しない
例外
連帯債務者に弁済・更改・相殺・混同が生じると、他の連帯債務者にも影響する(他の連帯債務も消滅する)
↓
連帯保証と同じ
連帯保証債務との共通点
・連帯債務に生じた事情の影響(弁済・更改・相殺・混同)
・求償権
連帯保証債務との違い
・主たる債務が存在しない
保証・連帯保証・連帯債務 まとめ
共通点、相違点
主たる債務
・保証:ある
・連帯保証:ある
・連帯債務:ない
主たる債務に生じた事情の影響
・保証:ある
・連帯保証:ある
・連帯債務:ない(主たる債務が存在しないので当たり前)
弁済・更改・相殺・混同が生じると他に影響
・保証:ない
・連帯保証:ある
・連帯債務:ある
補充性
・保証:ある
・連帯保証:ない
・連帯債務:ない(主たる債務が存在しないので当たり前)
求償権
・保証:ある
・連帯保証:ある
・連帯債務:ある
分別の利益
・保証:ある
・連帯保証:ない
・連帯債務:ない