所有権(民法)
隣家(りんか)の竹木(ちくぼく)が境界線を越えてきたとき
・枝:切ってはダメ
・根:切ってよい
考え方
根は土地に影響するから即切らないと被害が及ぶので
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令和5年4月1日の民法の改正により、下記のいずれかの場合は境界線を越えた枝を切ることができるようになった
・竹木の所有者に対し枝を切除するよう催告したが、相当の期間内(2週間ほど)に切除しないとき
・竹木の所有者が不明、または所在が不明であるとき
・急迫の事情があるとき
地役権
地役権とは
自分の土地から道路に出られるように、他人の土地を利用できる権利
要役地/承役地
・要役地:自分の土地
・承役地:他人の土地
地役権設定登記
地役権設定登記を申請する場合、要役地にも承役地にも所有権の登記がされていなければならない
地役権の性質
・地役権を要役地と分離して譲渡することはできない
・要役地を売却したら、購入した第三者に地役権が移る
・要役地が分割、または一部譲渡された場合、地役権は各要役地のために存在する
・承役地が分割、または一部譲渡された場合、地役権は各承役地の上に存在する
地役権の時効取得
地役権は時効により取得ができる
隣の土地を通行していれば、善意無過失なら10年、それ以外なら20年で時効取得する
(通常の取得時効と同じ)
時効取得の要件
・継続的に行使される
・外形上認識できる
↓
要役地の所有者が承役地に通路★を設けて継続的に使用するということ
〇要役地の所有者が通路を設けた
×承役地の所有者が通路を設けた
共有
共有とは
複数の人で1つの物(主に建物)を所有すること
共有物の使用
各共有者は、共有物の全部について、持分に応じた使用ができる
・全部使える。使えないと、トイレに行けないとか不条理なことになるので
→共有者の1人が無断で建物を全部使用しても、他の共有者は当然に明渡しを請求することはできない
共有物の管理等
・保存行為
・管理行為
・変更行為
保存行為
保存行為とは
・現状を維持する行為
例
・修繕
・不法占拠者に対する妨害排除請求
各共有者が単独で行うことができる
(他の共有者にも利益があるので)
ただし、不法占拠者に対して損害賠償請求する場合、自己の持分を超えて賠償を求めることはできない
管理行為
管理行為とは
・利用・改良すること
例
・第三者へ賃貸すること
持分価格の過半数の賛成が必要
1人が他の共有者に無断で賃貸した場合でも、他の共有者は賃借人(第三者)に当然に明渡しを請求することはできない
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令和5年4月1日から施行された改正民法により、「軽微な変更」も管理行為となり、過半数の賛成で決定できるようになった
軽微な変更の例
・アスファルト舗装工事
・土留工事
・外壁屋上防水工事
変更行為(「軽微な変更」は除く)
変更行為の例
・売却
・増築、改築
共有者全員の同意が必要
※令和5年4月1日から施行された改正民法により、「軽微な変更」は過半数の賛成で決定できるようになった
必要な同意:まとめ
・保存行為:単独
・管理行為:過半数
・変更行為:全員
持分の処分
持分の処分(売却・放棄)は単独で自由にできる
(他の共有者の同意は不要)
持分が放棄された場合
1人の持分が放棄されたり、死亡したのに相続人がいない場合、その持分は他の共有者に帰属する
×国庫に帰属する
共有物の分割
分割:土地をバラバラに分けるとか
各共有者は、いつでも自由に共有物の分割を請求できる
5年を超えない期間で分割を禁止する契約を結ぶこともできる
◇分割の方法
共有者の協議で分割する
共有者の協議がととのわないとき、分割を裁判所に請求することができる
・分割が難しい場合、裁判所は共有物の競売を命ずることができる
(建物のようにバラバラにできない場合、競売してお金に換えて、お金を分け合う)
・特別な事情があれば、共有物すべてを1人のものとし、他の共有者に持分の価格を賠償するよう命ずることもできる
共同相続
この「共有」は、共同相続した遺産についても適用される
共同相続は遺産分割によって解消されるまで続く