建築基準法
建築基準法の全体像
・集団規定
・建築確認
・単体規定
・建築協定
↓
・集団規定:街づくり
・建築確認:建築物の確認
・単体規定:建築物
・建築協定:地域住民が話し合い、建築基準法より厳しい建築基準を定める
◇
・集団規定
・用途規制
・道路に関連した建築制限
・防火地域・準防火地域
・建蔽率
・容積率
・斜線制限
・日影規制
・その他の集団規定
・建築確認
・単体規定
・建築協定
建築基準法が適用されない建築物
・文化財保護法によって国宝・重要文化財に指定されている
・既存不適格建築物
・非常災害があった場合の一定の仮設建築物
用途規制
飲食店と料理店の違い
・飲食店:一般的な食事をするところ
・料理店:遊興が目的。料亭など風俗系
全ての用途地域で建築できる
・保育所★
・診療所★
・神社、寺院、教会
・巡査派出所
・公衆浴場
・公衆電話所
工業専用地域以外すべてに建築できる
・住宅、共同住宅★
・寄宿舎、下宿
・老人ホーム、福祉ホーム★
・図書館★
・博物館、美術館
小学校、中学校、高校
工業地域・工業専用地域以外すべてに建築できる
→準工業地域には建築できる
2階以下かつ床面積150m2以内の店舗・飲食店
第1種低層住居専用地域・工業専用地域以外すべてに建築できる
↓
両端以外
第1種低層住居専用地域でも、特定行政庁が許可すれば建築できる
床面積10,000m2超の店舗・飲食店
近隣商業地域~準工業地域
大学、高等専門学校、専修学校、病院を建築できる
第1種中高層住居専用地域~準工業地域
ボーリング場、スケート場、水泳場を建築できる
第1種住居地域~工業地域
3000m2以内のホテル、旅館
第1種住居地域~準工業地域
カラオケボックス
第2種住居地域~工業専用地域
倉庫業を営む倉庫
準住居地域~工業専用地域
床面積150m2以内の自動車修理工場
準住居地域~工業専用地域
※倉庫と同じ
客席200m2未満の映画館、劇場、演芸場
用途に供する面積が200m2未満のナイトクラブも
準住居地域~準工業地域
客席200m2以上の映画館、劇場、演芸場
用途に供する面積が200m2以上のナイトクラブも
近隣商業地域~準工業地域
※「床面積10,000m2超の店舗・飲食店」と同じ
料理店、キャバレー
商業地域、準工業地域
火葬場等
火葬場、卸売市場、と畜場、汚物処理場、ごみ焼却場など
第2種中高層住居専用地域~工業専用地域、かつ、都市計画で敷地の位置が決定していること
敷地が複数の用途地域にわたる場合
敷地の過半の用途地域が適用される
道路
道路に関連した建築制限
・道路内建築制限
・接道義務
道路の要件
道路
・幅員4m以上であり、下記のいずれか
・道路法による道路
・都市計画法等による道路
・建築基準法第3章の規定が適用された際、現に存在する道路
2項道路(みなし道路)
・幅員4m未満であっても、建築基準法第3章の規定が適用された際、現に建築物が立ち並び、特定行政庁が指定したら、道路とみなされる
道路内建築制限
原則
・建築物・擁壁は、道路内に建築できない。道路に突きだしてもいけない
例外
・地盤面下の建築物
・公衆便所、巡査派出所などで、特定行政庁が通行に支障ないと認めて、建築審査会の同意を得て許可したもの
・アーケードなどで、特定行政庁が安全と認めて、建築審査会の同意を得て許可したもの
接道義務
◇道路(幅員4m以上)
建築物の敷地は道路(幅員4m以上)に2m以上接していなければならない
例外として接道義務を満たさなくてよい
・敷地の周囲に広い空き地を有するなど、特定行政庁と建築審査会が認めたもの
・道路(幅員4m以上)に2m以上接する建築物で、特定行政庁が認めたもの(建築審査会の同意は不要)
◇2項道路
セットバック
・2項道路は道路の中心線から水平距離2mの線が道路の境界線とみなされ、道路とみなされる部分は建築不可
・セットバックしても2m以上の接道義務あり
(2m以上接道してなければセットバックしても建築不可)
◇その他の注意点
・敷地が自動車専用道路に2m以上接していても、接道義務を満たしたことにはならない
・地方公共団体は一定の建築物に条例で制限を付加できる。緩和はできない★
・私道の変更や廃止によって接道義務を満たせなくなる敷地がある場合、特定行政庁は私道の変更や廃止を禁止・制限できる
一定の建築物
・延べ面積が1000m2超
・敷地が袋路状道路のみに接する150m2以上の建築物(戸建て住宅を除く → 戸建て住宅は制限を付加されない)
など
※袋路状道路【ふくろじじょうどうろ】:一端のみが他の道路に接続する道路
防火地域・準防火地域
防火地域
・階数(地階を含む)3以上、または延べ面積100m2を超える建築物は、耐火建築物等としなければならない
・上記を満たさない建築物も、耐火建築物等または準耐火建築物等としなければならない
・屋上の看板等、または高さ3m超の看板等は、主要な部分を不燃材料にしなければならない
〇不燃材料
×難燃材料
準防火地域
階数(地階を除く)4以上、または延べ面積1500m2を超える建築物は、耐火建築物等としなければならない
×準耐火建築物等
・上記を満たさない建築物も、原則として耐火建築物等または準耐火建築物等としなければならない
・看板等の規制は無し★
防火地域・準防火地域に共通する規制
・外壁が耐火構造なら、外壁を隣地境界線に接してよい
・建築物が異なる地域にわたる場合、もっとも規制の厳しい地域の規制を適用する
建蔽率
建蔽率規制の目的
・通風
・採光
・火災の延焼を防止
建蔽率規制が適用されない
・公園の建築物
・巡査派出所
・公衆便所
・公共用歩廊
など
建蔽率とは
建築面積/敷地面積
※建築面積:建築物を真上から見た面積
壁面線の指定がある場合
特定行政庁が認めて許可すれば、壁面線を境界線とみなして敷地面積を算定できる
容積率規制も同様
◇壁面線とは
道路から後退した線。道路と壁面線の間には建てられない。壁面線が指定されると、建蔽率・容積率が緩和されることがある
外壁後退
壁面線と同様、外壁後退においても、建蔽率が緩和されることがある
※容積率も緩和されるかは不明
◇外壁後退とは
境界線から後退した線。壁面線と異なり、すべての境界線から後退。境界線との間には建てられない
低層住居系の外壁の後退距離は1mまたは1.5m(都市計画で定める)以上でなければならない
建蔽率規制の原則
・商業地域:上限8/10
・他の用途地域:都市計画で決定
・用途地域無指定区域:特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て決定
建蔽率規制の緩和
1.特定行政庁が指定する角地は、プラス1/10
2.防火地域の耐火建築物等はプラス1/10
※さらに、元の上限が8/10なら規制なし→10/10
3.準防火地域の耐火建築物等・準耐火建築物等はプラス1/10
4.1と2、または1と3を満たす建築物はプラス2/10
5.
6.
試験対策
・明記されていなければ4の可能性は考慮しなくていい
・10/10は「建蔽率の制限は適用されない」と表現される
建蔽率規制の異なる地域にわたる場合
敷地の割合を掛けて合計する
容積率
容積率とは
延べ面積/敷地面積
◇延べ面積に不算入
・エレベーターの昇降路
・共用住宅・老人ホーム等の共用廊下・階段
・住宅・老人ホーム等の地下。ただし不算入は、床面積(全階の合計)の1/3まで
容積率規制の目的
人口密度をコントロールし、都市施設(特に道路)の計画的な配置を可能にする
容積率規制の原則
・用途地域:都市計画で決定
・用途地域無指定区域:特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て決定
容積率規制:前面道路の幅員が12m未満の場合
※前面道路が2以上の場合、幅員が最大のものを基準とする
・住居系の用途地域:幅員に4/10を掛け、都市計画による決定と比較し、小さい方の容積率
・住居系の用途地域以外:幅員に6/10を掛け、都市計画による決定と比較し、小さい方の容積率
容積率規制の異なる地域にわたる場合
敷地の割合を掛けて合計する
斜線制限
斜線制限
・道路斜線制限
・隣地斜線制限
・北側斜線制限
道路斜線制限が適用される区域
全ての用途地域、用途地域無指定区域
隣地斜線制限が適用される区域
適用されない
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・田園住居地域
↓
上記以外の用途地域、用途地域無指定区域で適用される
北側斜線制限が適用される区域
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・田園住居地域
・第1種中高層住居専用地域※
・第2種中高層住居専用地域※
※日影規制の対象区域を除く
建築物が斜線制限の異なる地域にわたる場合
建築物の部分ごとにその地域の斜線制限が適用される
※出題文の引っかけに注意。建築物がまたがっていても、該当地域の部分は斜線制限を適用される
日影規制
日影規制とは
冬至の日を基準に、中高層建築物が隣地に作る日影の時間を規制する
〇冬至
×夏至
考え方
冬は太陽が低く、そのぶん影が大きくなるため
日影規制が適用される区域
住居系、近隣商業地域、準工業地域、用途地域無指定区域で、地方公共団体の条例で指定する区域
日影規制が適用される建築物の規模
1.第1種・第2種低層住居専用地域、田園住居地域
→軒の高さが7mを超える、または階数(地階を除く)3以上の建築物
2.その他の用途地域
→高さが10mを超える建築物
3.用途地域無指定区域
→1または2を地方公共団体が条例で指定
同一敷地内に2以上の建築物がある場合の日影規制
ひとつの建築物とみなして日影規制を適用
日影規制の対象区域外の建築物
日影規制の対象区域外でも、高さ10mを超え、対象区域の土地に一定以上の日影を生じさせていれば、日影規制を適用する
その他の集団規定
敷地面積の最低限度
用途地域の都市計画において、敷地面積の最低限度を定める
ただし、敷地面積の最低限度は200m2を超えてはならない
低層住居系の高さ制限
該当
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・田園住居地域
10mまたは12m(都市計画で定める)を超えてはならない
低層住居系の外壁の後退距離
該当
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・田園住居地域
外壁の後退距離は1mまたは1.5m(都市計画で定める)以上でなければならない
※外壁の後退距離:建築物の外壁と敷地境界線の距離
建築確認
建築確認が必要
・大規模建築物
・大規模特殊建造物
・大規模木造建築
・大規模非木造建築
・都市計画区域・準都市計画区域内での新築・増築・改築・移転(大規模修繕・模様替えは不要)
↓
ただし、増築・改築・移転の規模が10m2以内なら建築確認は不要(新築は該当しない)
↓
ただし、防火地域・準防火地域では上記の場合も建築確認は必要
大規模特殊建造物
用途に供する床面積が200m2超の特殊建造物を、新築・増築・改築・移転・大規模修繕・模様替えする場合、建築確認が必要
大規模特殊建造物に用途変更する場合も
特殊建造物:映画館、飲食店、ホテル★、共同住宅★など、不特定多数の人が集まる建築物
試験対策
出題対象が大規模特殊建造物にあたる可能性を忘れるな!
大規模木造建築
下記のいずれか
・階数3以上(地階を含む)
・延べ面積500m2超
・高さ13m超
・軒の高さ9m超
を、新築・増築・改築・移転・大規模修繕・模様替えする場合、建築確認が必要
大規模非木造建築
木造以外で下記のいずれか
・階数2以上(地階を含む)
・延べ面積200m2超
建築確認が必要:まとめ
上から順に見ていき、該当し次第、建築確認必要
1.大規模建築物(新築・増築・改築・移転・大規模修繕・模様替え)
・大規模特殊建造物
・大規模木造建築
・大規模非木造建築
2.都市計画区域・準都市計画区域内で、新築、防火地域・準防火地域
3.都市計画区域・準都市計画区域内で、増築・改築・移転の規模が10m2超
※2と3は大規模修繕・模様替えは該当しない
単体規定
構造耐力
一定の構造計算によって確認された安全性を有しなければならない建築物
1.高さ60m超
2.木造:階数3以上 or 延べ面積500m2超 or 高さ13m超 or 軒の高さ9m超
3.非木造:階数2以上 or 延べ面積200m2超
4.
※2と3は建築確認の大規模木造建築、大規模非木造建築
防火壁による区画
延べ面積が1000m2を超える建築物は、防火壁または防火床によって区画しなければならない
ただし、耐火建築物・準耐火建築物では上記の区画は不要
避雷設備
高さ20mを超える建築物には、避雷設備を設けなければならない
ただし、周囲の状況によって安全なら設けなくてよい(もっと高い建築物があって安全のような状況)
↓
安全な場合を除き、設けなければならない
出題文「安全上支障がない場合を除き」=「安全な場合を除き」→設けなければならない
非常用昇降機
高さ31mを超える建築物には原則として非常用昇降機を設けなければならない
※非常用昇降機:非常用エレベーター
採光
住宅の場合、採光に有効な面積を、居室の床面積1/7以上としなければならない
換気
換気に有効な面積を、居室の床面積1/20以上としなければならない
石綿等
石綿を使用してはならない
石綿以外でやばい物質
・クロルピリホス
・ホルムアルデヒド
界壁
共同住宅の界壁は、原則的に、小屋裏(屋根裏)・天井裏に達し、一定の遮音性を有しなければならない
天井の高さ
居室の天井の高さは、2.1m以上でなければならない
一室で天井の高さが異なる場合、平均の高さとする
バルコニー
2階以上の階のバルコニー等には、1.1m以上の手すり等が必要
1階は不要
×各階
階段
階段には手すりを設けなければならないが、高さ1m以下の階段の部分には不要
宅配ボックス
宅配ボックスの設置を促進するため、宅配ボックス設置部分を「一定の範囲内」で容積率規制の対象外に
「一定の範囲内」は、建築物の延べ面積(床面積の合計)の100分の1以内
建築協定
建築協定を結ぶ手続き
土地所有者等の全員の合意と、特定行政庁の認可が必要となる
変更する場合
土地所有者等の全員の合意と、特定行政庁の認可が必要となる
廃止する場合
土地所有者等の過半数の合意と、特定行政庁の認可が必要となる
まとめ
締結も変更も廃止もすべて認可
締結・変更:全員
廃止:過半数
建築基準法
地階を含む/除く
地階を含む
・建築確認
・防火地域
地階を除く
・準防火地域
・日影規制
地階を含むか除くか異なるのは、防火地域/準防火地域だけ
日影規制で地階を除くのは当たり前